第3章 どっちがいい？

「…………ぁ、狼、の」

「！？」



トロン、て。
両目潤ませて。
頬紅潮させて。
尊の指先が、腹の上にぶちまけた欲を、掬う。


「っ」


何…………っ。
今。
指…………。


舐め…………？


「尊！」

「ふふ」



手首ごと口の中から指先を引き抜き尊を見下ろせば。
トン、て。
身体を押されて、逆に俺が押し倒された形と、なる。

「え」


尊の予期せぬ行動に一瞬呆気に取られたその隙に。


パク、と。
尊の小さな口の体温が、それを包み込んだ。



「は…………？」



何、して…………っ。


「尊！！」



引き剥がそうにも、思い切り吸い付く尊の口ん中、まじ気持ち、くて。
力、入んね…………。



「いつも、気持ち良くしてもらってばっかだから」
「ばっかおまえ、尊はそんなん、しなくていいんだってば…………！！」
「や！」


俺、なんのスイッチ押した？
これ。


「…………狼は、気持ちく、ない…………？」


小さな両手で包み込みながら、不安そうに尊の瞳が俺を見上げる。


「いや…………？」


「…………っ」


な、わけ。


「————あるかよ………っ」


ぐ、て。
尊の頭を抱え込んだ。



「…………さっきの、先っぽ、も一回やって」
「！！」


コクコクと嬉しそうに頷いて、その小さな口へとまた、吸い込まれていく俺、自身。
辿々しく舌を這わせながら、懸命に愛でようとするその、姿勢に。
表情に。
興奮しないように思えば思うほど、硬く、熱を持っていくのがわかる。

「…………ッ」


「ご、め…………っ、痛かっ………」


口を離して不安そうに話しかける尊の口へ半ば強引に捩じ込んで。

「ごめ………っ、さっきの、もっと強くして、い、から…………っ」


快感を逃したくなくて。
目を閉じた。



舌でぐりぐりって、されるの。
すっげ気持ち…………。
両手ぬるぬるしてて、あったかくて。
やば。
これ。
すぐ…………っ。



「尊も、いい…………っ」


射精る。



「はな、せ…………っ！！」



ぐ、て。
力を入れる尊の額を押し退けて引き剥がす。


「って…………」


けど。


「！！」


口の中にだすのは免れたけどこれ、ほとんど顔射…………。