第2章 悪魔の右目
「これで強がるんだからすげーよな、ほんと」
ぐったりと意識を放り投げた尊を保健室まで運んで。
ベッドへと横になる尊の髪を撫でながら、狼が愛しそうに尊の頬へと手を伸ばす。
「あれ、そーとー痛かったはずなのに」
「おまえもな」
「俺?」
「目、灼けるみたいに熱かった」
「ああ………、うん。やっぱ悪魔の力はすごいよな。」
「だな」
ほんと。
厄介極まりないものに手をだしたなー、なんて。
だけどあの日。
悪魔の獲物を横取りしたあの日。
ちゃんと覚悟したんだ。
だから。
もっと笑ってよ。
尊。