第2章 悪魔の右目
かわいすぎ。
かわいすぎて時々、壊したくなる。
限界まで、啼かしてやりたくなる。
「…………獣って、どっちがだよ」
「?」
「目、真っ赤」
「あ…………」
やっと狼が顔を上げて。
尊から手を離せば。
すでに尊は脱力してて。
トロン、てしたままにボーとしてた。
「尊。おまえ早く起きねーとユーリに犯されっからな」
「犯され…………っ!!狼!!変なこと言ってんなバカオオカミ!」
「アドレナリンそんな溢れさせといて良く言えたな」
「狼と一緒にすんな!バカ!」
「ならおまえ、こんな状態の尊見て手出せないでいられんの」
イった直後の、甘い香り。
紅潮した頬。
短く吐き出される吐息の隙間から覗く真っ赤な舌。
半開きの唇。
ほどよく血流が増した、ツヤツヤの、首筋。
ゴクン、て。
本能が喉を鳴らす。
「ほらな」
「…………うざ」
ガザゴソと制服のベルトを緩める狼が視界の隅に写り込んで。
尊の頭へと手を置いて。
「ごめんね尊。もうちょっと付き合って」
唇で、尊のそれを塞いだ。
途端に。
「ふぐ………っ、ん、ん、ンンぅ〜〜〜っ」
トロン、て閉じかかっていた瞳が見開かれて。
跳ねる背中。
晒された美味しそうな喉元。
狼が一気に尊を貫いた。
ゴクン、て。
喉がなる。
キスをしながら、ギクリと、尊の視線が俺の真っ赤な瞳に釘付けになり。
唇を離せば。
「………や、だ。まって………っ」
怯えた表情で、尊が首を振る。
だけど。
待てない。
チラリと覗かせた牙にビクンと身体が強張り、尊の喉から空気が抜ける。
「ユーリ………っ、ゆー!!」
ひゅ、と。
息を吸い込んだ気配ののち、手のひらで尊の唇を塞ぎながら。
無防備な首筋へと咬みついた。