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溺愛巫女は、喰べられたい

第1章 人、ならざるもの




「ねぇ、巫さん」


ざわざわとざわつく放課後の教室。
日直で日誌を渋々出しに行った狼と、女の子からの呼び出しを受けたユーリをひとり教室で待っていれば。
珍しくクラスメイトから声がかけられた。


「これから新しく出来たカフェ行くんだけど、巫さんもどう?」
「え?」
「狼くんとユーリくん待ってるんだよね?ふたりも一緒でもいいよ」
「あ、うん、いや、え、と。ありがとう………、でもあたし、人混みはちょっと」
「どうして?」

くすくす笑う、女の子たちの声。

「ねぇ巫さんてさ、お家のお手伝いしてるんでしょ?確か巫女の格好して大勢の前に出るんだよねー?」
「ぇ………」
「厄祓い?してるんだよねー?」
「………う、ん」

くすくす相変わらず笑う、彼女たち。
よりも。
あたしにはその後ろにべったりくっついてる影の方が、気になる。
ものすごい恨み。
誰だろう。
この中の、誰か。


「………今日は、まっすぐ帰った方がいい」


また、喰われる。
この思念だけで吐きそうなくらい。
ものすごい恨み。


「誰か、わかんないけど………、憑かれてる」
「はぁ?」
「ものすごい恨み感じるの。だから気をつけ………」

「いい加減にして!!」


「っ」


ドン、て。
肩が押されて。
倒れた拍子に手のひら、擦り剥いたっぽい。
思わず机に捕まろうとしたのが悪かったかも。
余計擦れた。


「なんなのほんと!!家が神社だからってマジきもいんだよそーゆーの!!」


やば。
また、怒らせた。

「だからやめよって言ったんじゃん」
「でも狼くんとユーリくん来るんだよー?巫さんひとりくらいいーかなってさー」


尻もちついた横を、彼女たちがこれ見よがしに通っていく。
どーしよう。
どーやって伝えよう。
こんな、頭痛くなるくらいに強い念。
絶対危険なのに。
さっきよりも強くなってる。





「…………そんなお誘いなら、直接誘ってくれた方がありがたいんだけど?」



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