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溺愛巫女は、喰べられたい

第1章 人、ならざるもの


ちゅ、て。
唇にも触れるだけのキスをして。
ユーリがおでこにも、キスをする。

「ユーリ?」
「かわいくて」


いつのまにか床へと座り込むように、だけど後ろからユーリがガッチリホールドしてる。


「…………気持ち良かった?」
「うん」


そのまま。
甘えるようにユーリの顔に頭を擦り寄せた。


「ほんと、かわいすぎだよ尊」









「………っん、は、っぁ、っぁあ………っ」


ユーリに触られるだけで身体がビクンビクンて反応してく。
ユーリの指先から、熱が伝わるみたいに熱くなる。
熱くなる、のに。
もどかしい。
ユーリの指先が伝うのは、いつだって刺激が欲しいギリギリ。
肝心なところはいつもわざとずらすんだ。



「〜〜〜っ、ぅう」


下唇を咬んで。
刺激欲しさに悶える姿を見て、ユーリの目が意地悪に細くなる。
狼、なら。
いつもダイレクトに気持ちいいこと、してくれるのに。



「ん?何?尊」


わかってるくせにわざと、あたしを見下ろす真っ黒な瞳。
サラサラな真っ黒な髪が、動くたびに肌を刺激してそれすらにも、熱が産まれる。
のに。


「も、やだ………っ、ユーリ」
「だぁめ」


ぎゅ、て。
後ろから抱きしめる腕に力が入って。
お尻にあたる、ユーリの硬いの。


「………なんでぇ?」


ユーリだって。
ユーリだってそれ。


「尊かわいすぎちゃうんだもん。休み時間でなんて可愛がるの時間短すぎ」
「…っから、いやだ、って」
「うん。でも、俺のことで頭いっぱいにしてる尊、見るのもいいかなぁって。」
「っ」


「ユーリ、予鈴」



突然ガラリとドアがあいて。
不機嫌そうに狼が顔を出す。


「見張りもなしにこんなことするわけないじゃん」


み、はりって。

「………うそ」

狼今の全部。
聞こえて、た?
恐ろしく耳がいい狼の聴覚は、人間の何倍もある。
校庭で具合悪くなった時の小さな呻きを、まわりのみんな気付かなかった声を、教室にいた狼が拾ったこともある。
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