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溺愛巫女は、喰べられたい

第1章 人、ならざるもの





「ねぇ、尊」


艶のある声で、ユーリが囁く。


「…………今?だって、まだ、ガッコ………」
「駄目?」


お昼休み。
パンを買った帰り、教室に戻ろうとひとり歩いていれば。
突然空き教室に引っ張り込まれて。
気付けばすっぽり腕の中。
後ろからユーリの体温が伝わって。
首筋に、舌が這う。

「か、えりまで………」
「待てない」
「っ」

ちゅ、ちゅ、て。
今度は肌に吸い付きながら、舌を這わせて。
それだけでまた、身体がゾクゾクする。


「尊。ちょーだい。お願い」
「………少しだけ、学校でおかしくなるの、やだ」
「うん、わかった」


「っ」


瞬間。
っぷ。
って。
ユーリの牙が首筋へと、肌を突き破って食い込んだ。


「ぃ…っ!!」


なかなかこの痛みになれなくて。
後ろから回されたユーリの腕に、しがみつくように爪を立てた。


ゴクン ゴクン ゴクン


「………っ、ふ」


また、これ。
いつもそう。
ユーリに血を飲まれると、血流に乗ってユーリに触られる感覚。
舐められてる、感覚。
いつもいつも、くすぐったいような。
変な気持ちになる。


「ゆ、ユーリ………、立ってられな………っ」
「大丈夫。俺に寄りかかって、身体預けて」
「ま、まだ?」
「もう終わるよ」



血、飲まれてるだけなのに。
なんでこんなに気持ちいいの。
ユーリの吸血は、痛みを紛らわすためなのかそれともただの偶然か、あたしにとって催淫作用が、ある。
早い話、ユーリに血を飲まれると気持ちよくなる。
ユーリに血をあげるかわりに得られるもの。
たぶんきっと今までもそうやって人の世に紛れてヴァンパイアは生活してきたんだろうな、って。
納得しちゃうくらいの。


『高揚感』



「尊。ありがとすごく美味しかった」


ちゅ、て。
傷口を舐めて治して。最後に軽く口付けする。



「お、終わった?」
「うん」

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