第1章 分岐点 ※
櫻乃side
「…そうだ、あまね。結霞の刀を持ってきてくれ」
「…少々お待ちください。」
そう言ってあまねさんは部屋を出ていき、戻ってきたと思ったら一つの刀を持っていた。
「日輪刀を作るには10日ほどお時間を頂く必要なんですが、櫻乃さんは特例ですので予め作ってあったものを持って参りました。ご了承ください」
スッと差し出される。柄は白く、鍔は丸い円の中に櫻のようなデザインが施されている。鞘は深い紫色だ。
私はゆっくりと抜刀する。すると普通の刀だったのに、淡いピンク色に染まる。先は薄い紫色に。
「櫻乃さんは櫻の呼吸の使い手の方ですからね。とても綺麗です」
『わぁ…ありがとうございます』
「刀鍛冶の方たちのお陰だよ。」
『お礼とかって…』
「もうすぐ隠の子が来るから連れて行ってもらいなさい。その刀を打っていたのは確か…鋼鐵塚蛍…」
…鋼鐵塚蛍さん…か…。
『鋼鐵塚蛍さん…ありがとうございますお館様。これでお礼が言えます』
「私は何もしていないよ。…ところで女性に歳を訊くのは失礼かもしれないけど…結霞はいくつなんだい?」
『えっと…11歳ですね』
「11歳…てっきり20代かと思っていたよ…礼儀正しいからね」
『ふふ、ありがとうございます』