第3章 倦怠期に喧嘩した七海との話
「貴女に、私はもう必要ないのではありませんか? 一度、距離を置きましょう」
そう私に向かって吐き捨てたのは、紛れもなく私がお付き合いさせて頂いている人で。
私は思いもしなかった言葉に、呼吸がしにくくなって溢れるのは、喉を通らなかった涙たちだった。
そして私は居た堪れなくなり、同棲していた彼の部屋を飛び出した。
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予兆がなかった、と言ってしまえば嘘にはなる。
本質は俗に言う倦怠期なのだが、それに拍車をかけたのが私の『甘えられない』性格だった。
元々、お互いの職業は呪術師でいつ呼び出しがかかるか分からない職業のため、建人さんに無理をして欲しくなくて、わがままを言いたくても言えなかった。
いざ家を飛び出したのはいいものの、これからどうすべきか考えあぐねる。
建人さんの家で同棲していたため、かつて住んでいた場所はもう引き払ってしまっていた。
高専に泊まることも出来るけれど、今は出来れば高専の面々には会いたくなかったのも事実で。
呪術師と言うのもあり、貯蓄はあるほうだからビジネスホテルに泊まることはできるけれど、いつ呼び出しがかかるか分からない。
それならばネットカフェだったら、好きな時間に抜けることもできるから効率を考えて、ネットカフェに泊まろうと近隣の繁華街沿いにあるそこに足を向けた。