• テキストサイズ

【じゅじゅ】短編集

第1章 生理痛と七海(ネームレス)




「家入先輩ぃぃぃぃ……」

「何、ゾンビみたいな声出してるんだ。……あぁ、もうそんな時期か」

「説明が省けて助かります……。少し、ベッド借ります……」

「あぁ、好きなだけ使え。薬はここに置いておくから」

「ありがとうございます……」

 ズルズル、と壁伝いにやって来たのは高専にある医務室だ。

 家入先輩が用意してくれた錠剤を、ペットボトルの水で流し込んだ。

 女性特有の悪魔の一週間が、私を現在進行形で襲っていた。

いつもなら、そこまで酷くないはずのそれだが、何故か今月に至っては子宮を握り潰されたような、しかも鋭利な物で何度も何度も刺されるような痛みも時折あった。

 きっと、ストレスが原因だろう。最近、面倒臭い案件の任務が多すぎた。

「いだぃいいい……」

 お腹を抱え、それを襲う鈍痛と激痛に、冷や汗を流しながら耐えることしか出来なかった。痛すぎて、ついには涙も出てきてしまった。

「おい、本当に大丈夫か? いつもは、そんな風にはならないだろ」

「いだい、けど最近、面倒な案件がおおくて……」

「原因はストレス、か。ちょっと待ってろ」

 そう言うと、家入先輩はどこかに連絡を取るために廊下に出てしまった。

 ズクズク、と痛む腹と低気圧のせいで頭もガンガンと痛くなってきた。もう、最悪だ。

 そういえば今日、恋人の七海さんと夕食をとる約束をしていたのを忘れていた。

 痛い。七海さんにあいたい。痛い。七海さんとご飯がたべたい。痛い。七海さんに撫でられたい。

「いだいよおおおおお」

 痛みに身体をよじればよじるほど、痛みは増えていくばかりだった。

 そして、私は気絶するという形で意識を失った。


 
/ 29ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp