第3章 二話 : どうしても無理です!
次に目を覚ましたのは、保健室だった。
校門の前でキャパオーバーをした私は、盛大に気絶をかましてしまった。しかも推しの目の前で、だ。
なんとも情けない話だ、と思う。
「良かった、気がついたのね。模部さん」
控えめな音を立てて仕切りのカーテンが開き、現れたのは保健医の先生だった。
「この度は、本当にご迷惑を……」
慌ててベッドの上で土下座をすると、先生は苦笑いで「気にしないで」と、言ってくれた。
「ずっと何も飲んでいないから、喉が渇いたでしょう? お水でも飲む?」
「あ、ありがとうございます……」
冷蔵庫に入っていたミネラルウォーターのペットボトルを受け取ると、枯渇していた水分を求めるようにごくごくと飲む。
「でも、柳生くんにはお礼を言っておきなさいね? ここまで運んでくれたんだから」
先生が発した言葉にあまりにも驚きお水を吹き出した挙句、盛大に噎せてしまった。
は、は、運んでくれた……?
誰が? え? 柳生くんが??? 私を????
穴があったら入りたいどころか、自分のお墓を掘って今すぐ永眠したいレベルで恥ずかしい上に、嬉しいとも思っている私の前世はやはりオタクなのだ、と否が応でも認めるしか無かった。
「ご、ごめんね……?」
先生が謝りながら背中を摩ってくれたけど悪いのは私だから、むしろごめん、先生。