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呪術廻戦 〜生きた証 後編 〜

第6章 好きな人。




苛立ちと焦燥からか、気づいたら気持ちをぶちまけていた。
そして彼女を腕の中に閉じ込めたーーー。




『・・あ、あのっ、、恵君…気持ちは分かったから一回離して、、』


やんわりと俺の胸を押し返したさんは、蚊の鳴くような声で謝ると部屋から出て行こうとした。


ーーーー何でだよ…
ホントに分かってんのかよ…。



背を向けられ、俺は咄嗟に手を伸ばした。

そして細い身体を後ろから抱きしめ、今度はストレートに気持ちを伝えた。




・・・けど、ここで彼女の異変に気付いた。

俺の腕の中で身体を強ばらせ、肩は小刻みに震えていた。


「ーーー、、、さん?」


抱きしめていた腕を緩めた途端、さんはガクッと膝から崩れ落ちた。


「ちょっ、、さん⁈⁈」


慌てて身体を支えると、彼女は顔面蒼白でヒュッヒュッと浅い呼吸を繰り返していた。



ーーーー過呼吸⁈⁈


過呼吸ってどーやって対処すんだ?
ビニール袋⁇
いや、、ビニールは窒息する可能性があるんだったか⁇⁇




『・・けっ、、、け、、たぃ、、、』

「っ⁈何ですかっ⁇」


さんが何か伝えようと口を開いたけど、上手く聞き取れずに余計に焦りが増していく。


そんな時。



「ーーーー恵、代わって。」

「・・・⁉︎」


突然、真後ろから聞こえた声。



部屋のドアからではなく、突如として姿を現す事が出来る人なんて1人しかいない。


振り向くと、そこにはアイマスクを外した五条先生が立っていた。


先生は苦しむさんを一瞥すると、俺の肩をポンと叩いた。



「恵。悪いけど部屋、出てくれる?事情は後で話すから。」


「ーーーーはい…」



何も出来ない自分が情けなくてぐっと奥歯を噛んだ。

けど、今はこの人に任せるしかない。



ーーー後ろ髪を引かれながらも、俺は静かに部屋をあとにした。



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