第5章 ただいま。
すると恵君は私の隣に静かに腰を下ろした。
「まぁ…いーんじゃないっすか。結果、祓えた訳だし。」
説教をされると構えていたが、予想外の台詞に思わず恵君を凝視する。
そんな私の視線に気づいたのか、恵君と目が合うも、すぐに逸らされてしまう。
「〜〜ッ、、そもそもあなたは今日は俺の付き添いって話しだったんですから。
また怒られても知りませんよ。」
『・・フッ、そうだねぇ。・・でも今日は少し気分が良いかも…』
頬を緩め目を閉じた。
私の頭上でフッと恵君が笑った気がした、、、、
ーー
「ーーーそろそろ戻りますよ?伊地知さんも心配してるだろうし、、、ってさん、、?」
すぐ隣で目を閉じているさんに声を掛けるも反応が返ってこない。
「・・・この人、、マジか。」
畳の上で気持ち良さそうにスヤスヤと寝息を立てていた…。
いや、疲れてんのは分かるけど、普通この状況で寝るか⁇
無防備に投げ出された足元はスカートが捲れ上がり、そこからは白く細い太腿がチラリと覗いている。
「・・・俺がいなかったらどーすんだよ。」
手を伸ばし、捲れた裾を手早く元に戻した。
ーーーそれにしても…
小さく控えめな口は薄く開き、汗が滲む額と首元が妙に色っぽく見えて…
「ーーッ‼︎」
バッと顔を背け、手で口を覆う。
ーーーやべぇ、俺、何考えてんだ。
とりあえず携帯で伊地知さんを呼び、気を失っている柔道部の学生の処置をお願いした。
ただ寝ているだけとは知らず、さんを横抱きにする俺を見た伊地知さんは、案の定卒倒しそうになっていた。