第5章 ただいま。
体育館の方へと足を進めようとした時、僅かに"人"の気配を感じた。
『ーーーー⁇』
咄嗟に振り向き、辺りを見回してみても誰もいない。
ーーー気のせい、、、?
そもそも生徒達は午前中で下校させている為、敷地内に人気は無く辺りは静まり返っている。
「さん?」
『恵君、、、何か人の気配、感じなかった?』
「人、、、ですか?」
恵君は眉間に皺を寄せ、キョロキョロと周りを見渡した。
「ーーー万が一、学生が残ってたとしても、今は呪霊を祓う方が先です。」
『そう、、かもしれないけど…。
もしかして中に誰か残ってるのかも、、』
私が武道場の方を指差すと、恵君は苛立ちを抑えるように息を吐いた。
「任務の内容、聞いてましたよね?
俺らは学生の捜索で来てるんじゃない、呪霊を祓う為に来てるんすよ?
2級、もしかしたらそれ以上の呪霊がもうすぐ姿を現す…そっちのが優先でしょ?」
『ーーーーそう、、だけど…』
恵君の言う事はもっともだし、正しい。
自分でも頭では分かっているのに、素直に頷く事が出来ずにいると、
ワオーーーーーーーーーーン
玉犬の鳴き声が聞こえ、私達はハッと顔を見合わせた。