第5章 ただいま。
「はぁ、はぁ、、も〜〜無理っっ‼︎
これ以上腕上がんないし、、足もパンパンなんだけどっ‼︎」
かれこれ30分近く、私は野薔薇ちゃんに倒され、投げられ続けていた。
『ハァッ、、ハァ、、、うっ、、』
もう一度立ち上がろうとしたけれど、膝に力が入らずベタンッとうつ伏せに倒れ込んだ。
汗と土埃にまみれ、顔や髪はぐちゃぐちゃ、ジャージは最早元の色を留めていない。
そんな私とは対照的に、野薔薇ちゃんのジャージには砂ひとつ、ついていなかった。
ーーー全く歯が立たないとは正にこの事。
そんなと野薔薇の様子を、
すでにトレーニングを終えた悠仁と恵も傍らで見守っていた。
「ちょっと先生、、マジでもうさんヤバくない?
もうやめさせてよ。」
あまりの力量の差に堪らず、悠仁が五条に詰め寄った。
「僕は泣きの1回って言ったんだけどね〜。
あの2人が勝手に続けてんの。
それに見てよ、の表情。
あんなにボロボロなのにちょっと嬉しそうじゃない?」
悠仁は地面に這いつくばるの表情をじっと見ると、目を見開いた。
「・・・ほんとだ、、何かちょっと笑ってる…?」
五条は腕を組み、ニッと口に弧を描いた。
「またこうやって誰かとトレーニングしたり稽古をつけたりするのが嬉しくて仕方ないんだろーね。
くくっ、、まるであれじゃゾンビだけどね。」
「ゾンビって酷くないっ⁈
でも、、倒したと思ったのに何度も起き上がってこられたらちょっと気味悪いな…。」
「だよね〜〜⁇」
ーーー以前のはここまで必死にならなかった。
どこかで自分は無理だと線を引き、諦めていた。
けれど、今のは貪欲だ。
なりふり構わず、もっともっと…と強さを求めている。
強くなろうとしている。
ーーーー良い傾向だ。
五条はククッと喉奥を鳴らした。