第5章 ただいま。
すでに西の空は夕焼けに染まっていた。
「ーーー不安要素、ね…。」
歌姫からの情報によると内通者は2人以上。
そのうち1人は学長以上の上層部。
どこで情報が漏れるか分からない以上、出来る事ならの存在は上には知られたく無かった。
けど、今に一番必要なのは仲間だ。
彼らが彼女を強くし、その存在が生きがいになるだろう。
ーーーーもう二度と引き離さないよう。
「・・・仲間、か。その点は傑より恵まれてるかもね。」
自嘲気味な笑みを浮かべながら親友の最期の言葉を思い出す。
託された親友の想いーーーー。
「ーーー守ってみせるさ。」
こんな混沌とした世界でも心の底から笑えるよう…
彼女の笑顔を。