第1章 番外編 ①
チラッと隣に視線を向けると、
背筋を伸ばし、真剣な面持ちで黒板を見ながらスラスラとノートに書き写している。
ーーー真面目。
最初の印象はそんな感じだった。
必要以上に喋らないし、真希とは真逆で控えめで大人しい感じ。
呪術師にしてみたら少しひ弱そうな見た目。
自分自身、コミュニケーション能力は高くないし、語彙もおにぎりの具で絞ってるから正直、どう接して良いか初めは分からなかった。
ーーーけど、
『・・ん?』
俺の視線に気づいたと目が合った。
あ、見過ぎだ。
何でもない、と首を横に振ろうとした時、
『あ、教科書忘れちゃった?
良かったら一緒に見る…?』
首を傾けながらが小声で聞いてきた。
「・・・・こんぶ。」
一瞬、躊躇ったのは、机の中にはちゃんと教科書が入ってるから。
そもそも教科書なんていちいち持って帰ってないから忘れようがない。
俺がコクッと頷くと、はフッと口元を緩め、ピタッと机をくっつけてきた。
そして俺にも見やすいように教科書を机の間に置いてくれた。
「ツナマヨ。」
『うん。』
必然的に近くなる距離感に少しだけソワソワしていると、ポンッと後頭部に何かが当たった。
「・・⁇」
消しゴム?
床に落ちたソレを拾い、後ろを振り向くと、
口元を引き攣らせ苦笑いを浮かべる憂太と、ニヤニヤしながら冷やかすような目線を送るパンダと目が合った。