第3章 別れ。
泣き崩れた私の肩をラルウさんがそっと支えてくれた。
「私、こんな見た目してるけど、傑ちゃんの事はよく分かってるつもりよ。」
『・・・・?』
涙と鼻水でぐしょぐしょになった私の顔を見てラルウさんは、
「もぅっ、女の子なんだからっ!」
と肩を竦めながらハンカチで鼻水を拭ってくれた。
「・・傑ちゃんは私達家族に自身の思想を押し付けたりはしない。
彼が亡くなった今、この先どう生きるかは自分達自身で決めるの。
もちろん中には傑ちゃんの意思を継ごうとする家族はいるでしょうけど、、、あなたは違うんじゃないの?」
真っ直ぐな視線が向けられ、私が返答に困り視線を泳がせると、ラルウさんは眉を下げ口元を緩めた。
「フッ、嘘が付けない性格なのね。
ここに美々子と菜々子がいなくて良かったわ。」
『す、、スイマセン…』
「ま、それは良いわ。
私もどちらかと言えば傑ちゃんが創る世界を見たかっただけだから。
傑ちゃんが居なくなった今、私は彼の意思を継ぐ気はないわ。」
キッパリと言い切るラルウさんに、私は驚きの表情で彼を見つめる。
『じゃあ、ラルウさんは?これからこの先、どうするつもりですか、、、?』
「・・そうね。まだすぐには考えられないけど、私は私の道を行くわ。
だから、あなたも自分の道を進みなさい。
それに私達は離れていても家族である事は変わらない…。
いつかまた、どこかで会えたらご飯でも食べましょ。」
そう話すラルウさんは私の頭を撫で、優しい笑みを浮かべた。
『きっと、、また会えますよね、、?』
止まっていた涙が再び溢れ、鼻を啜ると、
「そうね、きっとまたいつか会えるわ。
良い?傑ちゃんほどのイイ男があなたに目を掛けていたんだから自信を持ちなさい?
ーーーそして強くなりなさい。」
ぎゅっと厚い胸板に閉じ込められる。
温かいぬくもりに包まれ、私は嗚咽を押し殺して何度も頷いた。
「ーーーー、傑ちゃんの側に居てくれてありがとう。」