第1章 1st
「コーヒー淹れるの上手くなったな」
「まぁ、ポアロ行って研究したからね。」
「俺が直接教えても良かったのに」
「そしたら、ゼロ、コーヒー淹れてくれなくなるじゃん。自分でできるだろって」
コポコポと、客人様のカップにコーヒーを注いで、ゼロの前に出す。
「ゼロも変わったよね」
「変わらない方がおかしいだろ、」
「そうだね、」
7年も経つのに忘れられないの、やっぱりおかしいかな。
「部屋掃除しようかなぁ」
「まぁ、良いんじゃないか?」
「フぇブリーズ買ってこないと、ついでに模様替えとかしたいなぁ。車出してくれないかなぁ?」
「…はいはい。わかりましたよ、仰せのままに」
「やった、ゼロ!研二の次にすき!」
「調子のいいやつ、そのうち1番ゼロが好きって言わせてやる」
コーヒーを啜って、ニヤッとわらう。
悪い顔、なんだかこういうのも懐かしい…。
ねぇ、変わらないのがおかしいなら、
研二を忘れられない私は、
アドレスすら消せないわたしは、
…やっぱり変?
ねぇ、研二…。
タバコという、あなたの残り香に頼る。
私まだ、それだけに縋って生きてる…ー