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残り香     【DC】【萩原】

第4章 4th


 学生の頃、研二たちとばかり連んでいたせいで、あんまり女の子と遊ぶ機会がなかった。
 それについては何にも思うことはないんだけど、研二がいなくなってからどれだけあの2人に依存してたんだろうって気付いた。

 それから、年が違えどこうやって女の子と話す機会ができて、同性との会話だって楽しかったんだと知った。
 研二を好きだって思った時、もし蘭ちゃんと園子ちゃんのように女の子の親友がいたらって、考えたこともあった。

 お互いの好きな人の話をして、応援し合って、もしかしたら告白だってもっと早くできたかもしれない。

 もっと長い時間付き合えていたのかもしれない。
 研二の温もりを、感じられていたのかもしれないのに…。

 「たのしかったなぁ」
 「俺も楽しかった」

 やっとJK2人に解放されて、といいつつ1番楽しんでいたのは私だったかもしれないけど。

 「女の子と話すの、研二のこと話したり、相手のこと聞くのやっぱ楽しいなって」
 「ふふ、今日はデレしかなかったもんな。」
 「研二に好きって、あんまり言ったことなかったもんね」

 幽霊に影はないとよくいうけど、いまの研二にはちゃんとあって。
 それだけでここにいると実感できる。

 「これからは、恥ずかしくてもちゃんというから…研二なら、言わなくてもわかってくれてるって思ってたけど、私ちっともわかってなかった。」
 「…まぁ、実際ゆりはわかりやすいから、俺にはちゃんとわかってたけどな」
 「だから、甘え過ぎてたんだ、」

 視線が落ちていくのに、ぎゅっと研二に引き寄せられて視界が広がる。

 「夕方だから、センチメンタルになっちゃったゆりちゃんに、俺が魔法でもかけてあげようか」
 「…」
 「部屋帰ったら、1番に冷蔵庫あけて」
 「え?…わかった
 …って、夕方だからってセンチメンタルにならないもん」
 「いや、意外とゆりはロマンチストだから、天気とかでも意外と朝イチのテンションちがうぜ?」
 「そんなことないもん」
 「そんなことありますー、俺が言うんだから間違いない。俺が一番、ゆりより、ゆりのこと分かってますから。ゆりに対してだけの推理なら、新一くんをも凌ぐ名探偵ですからー」

 ムキになって言う彼は、きっと本当に私以上に私のことを知っている。

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