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on Rouge

第2章 よろしくね。


泣かせてしまったことに申し訳ないという気持ちと、
自分のために涙してくれたことへの嬉しいという気持ちと、
なんとも複雑な感情になる。

『幻太郎さん、優しいね...こんなに優しくしてもらったのなんていつ以来だろう...』

「いいえ。お節介焼きなんですよ。小生は。」

そう言って笑う彼に釣られて笑ってしまう。

「お節介ついでに、小生のお話を聞いて貰えませんか?」

それからは物語や帝統さんや乱数さんの話を色々と話してくれた。
疲れているはずなのに、
眠れなくなった私に
どこまでも優しくそうやって
接してくれるものだから、
真っ暗闇を歩いていたような心が
光を見つけてしまったような気持ちになる。

いいなぁ...いいなぁ。この人。

でも、ここで好きになって
幻滅されたくないな...
だから転がり込んで来たのかって思われたくない。
優しくされたら誰でもいいのかって思われたくない。
初日から好きになってしまうような女。尻軽に見られるかもしれない。

せめて、幻太郎さんの邪魔だけはしたくないな。
傍に入れるだけでいい。そう思わなきゃ。
いつ追い出されてもいいように、
心構えをしておかなければ。

だから、お願い。贅沢は言わないから。
少しでも長く、この人の傍にいさせて欲しい。

そう考えながら、幻太郎さんの声のトーンで
瞼が重くなり、

「おやすみなさい。...楽しい毎日にしましょうね。
貴女が生に依存してしまうくらい思い出をつくりましょうね。」

その声を最後に、眠気に抗うこと無く眠りについた。
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