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on Rouge

第2章 よろしくね。


「誰に向かって別れるって言ってやがんだ!!」

ガシャーン!!

『っ痛い!ごめんなさい!ごめんなさい!』

これは...夢..??

「男か?そうなんだろ、オイ!」

髪の毛を引っ張られ、壁に打たれ。
伝い落ちる...血..
温度は感じないものの、これは確かにあった話だ。

「仕事とか言って、んな格好で他の男誘惑しに行くんだろ!?」

だって、お金が必要だって言うから...

血が出ようとも、アザが残るまでは叩かない。
私が仕事に行けなくなるのが困るから。

怒ると決まって、
トイレやお風呂までの距離の長さの鎖と手錠で繋がれる。
仕事以外でどこにも行くなと。

一通り暴れたら

「俺にはお前が居ないとダメなんだ..」

そう、甘い言葉を囁いて抱きしめる。

あぁ。私たち、いつもこうだったね。
離れたいのに離れるのが怖くて。
仕事場までは必ず送ってくれる。
終わったら必ず迎えに来てくれる。
それが愛情なのだと思い込んだままだった。
めちゃくちゃに抱いて、好きだと言う言葉に
惑わされたままだった。
どこにも逃げないように監視されていただけなのだと、
本当は気づいてたのに。

身寄りがない私は、
ただただ、怖かったのだ。
それでも、精神的にも限界で...
消えてしまいたかった。
店に体調不良の早退を伝え、
その足でドラッグストアに向かう。
ずっと欲しいと思っていたけど、
買えなかった口紅。
どれくらいぶりだろうか...
自分のために何かを買うなんて。
どれくらいぶりだろうか...
自分の好きなことをするなんて。

知り合いに見つからないように、
とあるビルの屋上に行った。

ポーチの中から鏡を取り出し、
買った口紅を唇に滑らせる。

私、何のために、誰のために生きているの?

今、私がしたいことってなんだろう。
消えたい。解放されたい。自由になりたい。

ビルから見える新宿の町はあまりにも輝きすぎている。

一言、この世との決別の言葉を呟いた。
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