第7章 思えば私に対してもあんなだった
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後日談。
なぜか私は家庭教師をクビにならなかったし、卓磨くんは私にイタズラをしなくなった。
「俺、森本センセの彼氏、嫌いじゃない。 でも、ちょっと大人気ないよね」
そんな生意気なことを言いつつ、見せてくれた数学のテストの点数は劇的に上がっていた。
「拓真くんのそういう所は、昔から変わらないな。 あれぐらいの子は、子供扱いされるのを嫌うだろう?」
とは笑いながらこぼした父の感想。
それから、もうひとつ。
『これはオレんだから』
彼がそう言ってくれたのはとっても嬉しいのだけれど。
『これ』とは私だろうか。
それとも私の乳のことだろうか。
私にはそれをタクマさんに訊く勇気はない。