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朝凪のくちづけ【R18】

第1章 朝凪のくちづけ



そんな事を思いつつ車に揺られ、半分うとうとし始めた私は、タクマさんと出会ったばかりの、自分がまだ小さかった頃の事を思い出していた。




『タクマ明日も来る?』


『だから『さん』位、付けろって…来るっつーか、オレはいっつもこの時間はここに居んの』


『じゃまた明日ねー』


『……またな。 帰りコケんな…っおい』


『痛……痛ァい……』


『言ったそばから……大丈夫か? ああ泣くな、めんどくせぇ。 ほら、膝に砂ついてるから……オマエ、名前は?』


『……綾乃』


『綾乃……ここに来てもいいけど泣くのは止めろ。 約束できるか』


『……っん!』


『……よし』




そういえば、昔彼は煙草を吸ってた。

私が行くといつも吸いかけのそれを消して、そしていつの間にか全く吸わなくなった。


彼は口の割に優しい人だ。


優しいからいつも受け入れてくれてた、もしもそうならそれでもいい。


どうか私を拒まないで。

私が傍にいる事を許してほしい。



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