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朝凪のくちづけ【R18】

第3章 ハチミツ味のSavage CAFE



いかにも海沿いで経営しているカフェらしく、そのお店の入口のすぐ傍には、広いオープンデッキがしつらえてあった。

こういってはなんだけど、この町のお店にしてはかなりオシャレだと思う。

潮風に吹かれて、波音を聴きながらランチなんかすると楽しそう。


店主さんらしき男性とタクマさんが親しげに挨拶を交わし、雨のために店内に通された私たちだったが、なんだろう。 どこか見覚えがある。

長身で細面のイケメンマスターといい、ダークブラウンで統一されたログ風の内装といい。



「女連れって珍し。 もしかして昨日海にいた子? 親戚の姪っ子とか?」



あ、この声は、あのときタクマさんと車に乗ってた男の人だ。
とりあえず、それは分かった。



「いや彼女」



タクマさんが卵とコーヒーでいいや、とオーダーする合間にしれっと言う。



「!!!?」


「え、わかっ! いくつなの彼女」



『彼女』



《goo国語辞典より》
彼女…愛人、恋人である女性。「―ができた」⇔彼/彼氏。


もちろん私はこれも調べ済みだ。

でも、だけど、まさかこのタクマさんが、こうもアッサリ言ってくれるとは思ってなかった。


なんというか、出合いがしらにカウンター受けたみたいな。

ダメ。 めまいと動悸が止まらない。
ついでに私の足に力が入らない。



「アレ……どしたのこの子。 カウンターに崩れ落ちて一点見詰めたままプルプルしてるけど」


「こいつ時々、世界線超えるクセあるだけだから気にすんな」



そっか、勿体ないねえ。 かわいいのに。

などという声が彼方から聴こえてきた。



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