第9章 One hundredth time「少し」
そうやって、高まったまま震え続けていた私の体。
……それは羞恥さえ押しのけて、意識せずとも自ら脚を開き、いつの間に伸ばされていた彼の手をもすんなりと受け入れていたらしい。
「……綾乃? こうやって指入れたことは?」
耳元で訊かれて初めてタクマさんの指が自分の内側を触っていることに気付いた。
「…っはぁ…そこ、は」
初めて体の中に入れられた侵入物は、戸惑いと、まるで息が詰まるような感覚を運んでくる。
「あっ。 な、けど…わた、し」
一瞬怖さも感じたけれど、これは大好きなタクマさんなのだと自分に言い聞かせた。
「きゃっ……」
途切れ途切れに喘ぐ私から返事を催促するようにトン、トン、トンとごく軽くノックする。
「痛くはないか」
もしも立っていたら、強制的に溶かされるみたいな薄膜への圧力に崩れ落ちていたと思う。
「ァ…あ、そこ…らめぇっ」
「呂律回んなくなるほど好きか。これ」
私の耳に口を付けながら囁くタクマさんの声はどこか愉しげ。
強すぎる刺激で彼の手首に伸ばした私の指先を無視した彼は、責める手を緩める気はないみたいだった。
「感じるんだろ?」
まるでそうだと答えてるみたいに私の喉から漏れ続ける、切羽詰まって色めいた荒い吐息。
ますます熱くなる自分の顔。
体が……中が熱い。