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朝凪のくちづけ【R18】

第1章 朝凪のくちづけ




「大学行ったらどうせすぐ彼氏作んだろって思ってたし、向こうで就職したらしたでまた環境変わって出来んだろとか」


「いやそれはありえないよ?」



何年片思いしてると思ってるの。



「知らねーって。 いつ来るかも分かんねえのに待つ方の身にもなれよガキ」


「ガキじゃない」


「そこ? ……んなの分かってるわ」



少し体勢をずらされ、お腹の下辺りに何だか硬いものが当たってるのが分かった。


……これって。

それで私の顔がぼっと火照る。



「ロリコンじゃねえからな。 オレは」



そんなよく分からない事を呟いている。



「……タクマさん」


「ん?」


「恥ずかしいのですけど」



もう日の出も過ぎて辺りは明るい。

そして私は上半身裸というのが今更ながらにじわじわくる。



「…………」



彼が手を伸ばして私が脱いだ上着を取り、それで私の背中をくるんでからまた羽交い締めにした。


着るために離してはくれないのだろうか。



「……あの」


「なに」


「こっちで就職していい?」


「……オマエ、今まで何聞いてた?」


「いい?」


「いー、けど。 連絡先教えろよいい加減」


「ホント!?」


「っだから起き上がるなってば!」


「ッむぐ!」


「……たく」


こういってはなんだけど、タクマさんって大抵は不機嫌そうだ。


なのでそれが彼の平常運転だとすると、今は実は機嫌がいい方なのだと、彼を長年見てきた私には分かる。



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