第88章 番外編 ご報告
優しい声と言葉に、キリも安心感を覚えて、胸をなでおろす。
任務でのキリの失態は、木ノ葉隠れの里の迷惑になる。
世話になっている〈木ノ葉隠れの里の任務をする〉という責任感が、いつもキリの中にあるため、気を抜けない。
シカクとヨシノに会って、ようやく遂行したことを実感する。
ヨシノ「大変だったね。今日はうちで晩ご飯食べて行きな」
ヨシノの嬉しい提案に、キリは二つ返事で頷いた。
なんとなく今日は、三代目が用意してくれた住居で、一人ご飯を食べるのは寂しい気がした。
キリ「ありがとうございます」
ヨシノ「シカマルも夜は帰って来るよ」
キリ「はい」
〈シカマル〉というキーワードに、キリはぴくりと反応を見せる。
そう、キリが今ここへ来たのはシカマルの。いや、シカマルとキリの話をするためだ。
キリは、シカクとヨシノの顔を見る。
すると相変わらず、穏やかで陽だまりのような二人の空気が、心揺れるキリを包んでくれた。
キリの中で、何とも言えない感情がまとまらないまま、本題に入る。
キリ「彼と、付き合う事になりました」
キリが、一番初めに報告した相手がシカクとヨシノだ。というよりも、最初に告げる相手は、二人以外あり得ない。
トットッといつもより鼓動が早くなっていくを感じる。
茶を口もとへ運ぶ途中で停止しているシカクと、茶菓子を置こうとしていたヨシノもぽかんと口を開けて、キリに視線を集める。
ヨシノ「彼って……」
シカクとヨシノは互いに顔を見合わせた後、もう一度キリに目を向けた。
シカク.ヨシノ「シカマル?」