第88章 番外編 ご報告
奈良家の門を超え、キリは扉を小さくノックする。
扉に少し力を入れれば、簡単に開いたことから、誰かが家にいる事がわかった。
キリ「ヨシノさん、シカクさん」
玄関に入って、そう声をかけてみる。
いつからだろうか。
キリが木ノ葉隠れの里に来て、二年。
こうして、許可もなく当たり前のように、この家に入るようになったのは。
こうして任務でしばらく里を開けた後は、申しわけ程度に扉をノックするが、普段は勝手に中へ入る。
それがキリにも、シカマルたちにとっても当たり前になっていた。
そしてすぐに、パタパタと聞こえてくる足音。それと足音はしないけれど、よく知った気配。
そんな二人がキリを「おかえり」と迎えてくれた。
ヨシノ「ほらキリ、早く入りな」
シカク「任務はどうだった?」
任務に同行はしなかったが、綱手からキリの任務内容を聞いていたシカクが、「今回は少し骨が折れただろう」と、くつくつと笑いを漏らした。
キリ「はい。少し……疲れました」
シカク「ははっ、だろうな」
任務は難しい内容ではなかったが、一人で時間に追われながら、ばたはたと走り回り続けた記憶しかない。
苦い顔をしながら、任務の感想を正直に告げれば、軽快な笑い声を上げたシカクは「続きを聞かせてくれ」と促した。
その後しばらく、居間でたまにシカクとヨシノの二人に笑われながら、キリは任務の内容を話していた。
現場で指示を出すトップの人が、癖があり過ぎたのだ。
おかげで、行ったり来たりをひたすら繰り返した数日だった。
それでも、なんとか無事に期限内に終わる事が出来たと報告すれば、シカクもヨシノもキリにお疲れ様と声をかけてくれる。