第88章 番外編 ご報告
突如現れたカカシの姿に、びくりと肩を竦ませていると、カカシはにっこりと目を細める。
カカシ「探してあげようか? シカマル」
キリ「い、いえ大丈夫です」
カカシ「どうして? 探してるんじゃないの? シカマル」
その名を言ったわけではないのに、シカマルの名を出してくるカカシに、少し体温が上がったのがわかった。
キリ「彼だとは言ってないじゃないですか」
カカシ「違うの?」
キリ「……いえ、その」
口ごもるキリに、カカシはいたずらな笑みを浮かべた。
カカシ「正解みたいだね。用事があったの?」
キリ「特に用事があるわけではないので」
わざわざ探してもらわなくとも結構だと言うキリに、カカシは「へぇ……」と含みのある声を落とした。
カカシ「用事はないけど探してるってことは、シカマルに会いたかっーー」
キリ「もう! カカシさん! こちらにいるという事は何か用があったんでしょう。私は大丈夫なので、そちらに行って下さい」
頬が火照るのを感じながら、カカシの言葉を遮れば、カカシは可笑しそうに笑って、まるで心のこもっていない謝罪を告げる。
カカシ「ごめんごめん。綱手様にちょっとね」
「行ってくるよ」と言うカカシに、どうか早く行ってくれと促せば、カカシは火影室に向かって歩き出した身体をくるりと反転させる。
カカシ「あ、シカマルなら今日は任務で、夕方ぐらいに帰ってくるよ」
「さっきまで、俺も任務で一緒だったからね」と告げて、施設に入っていくカカシに、キリは何とも言えない表情でそれを見送った。
キリ「……夕方」
今は昼をようやく過ぎたばかりで、シカマルの帰還まではまだまだ時間がかかりそうだ。
交際後に、顔を合わせるのは久しぶりだ。
どんな顔をして、キリはシカマルに会えばいいのか。
どんな顔をして、シカマルはキリに会うのか。