第21章 有能助手
シカ(あー……ねみー……)
キリがここで生活をするようになって、五日が経った。
同じ家にキリがいて、さらには隣の部屋にキリがいる。
そう思えば、何故か緊張して、シカマルはここ数日あまり眠る事が出来なかった。
シカ(来た理由も理由だしな)
キリがここへ来たのは、キリが自宅にいたところを何者かに襲われたからだとシカクから聞いていて。
寝静まった夜間に、その男がキリのもとへ来るかもしれないと思えば、おちおち気も安まらない。
シカ(キリは毎日こんな思いしてたのか…)
たった数日間でシカマルの神経はすり減るようで、疲労はかなり大きい。
任務に出ている時ならばまだしも。自分が住む里で、更には自宅でまで終始、気を張り続けることは想像以上に苦痛だった。
では、当本人であるキリは一体いつから、このような思いをして生活をしていたのだろうか。
シカ(もしかして、あいつ木ノ葉の里に来た時からずっと……)
いつも張り詰めたような空気をまとって、いつだって一人きりでいたキリの姿が思い浮かんで、シカマルの胸が痛んだ気がした。
シカク「シカマル、今日はすぐに任務に行かなきゃならねー。あいつの治療は出来るな」
朝食を終えてすぐ、シカクからそう伝えられる。
ここで言うあいつとは、あの子鹿のことだろう。
鹿のツノを用いた薬学は、これでもずっと学んできている。そして毎日、数ヶ月に渡って目の前で見てきた治療だ。
シカクがいなくても、シカマル一人でこなすことは可能である筈だ。
シカ「あぁ」
「行ってくる」と言って家を出るシカクをヨシノと見送り、シカマルは薬剤庫へと向かう。