第87章 ながい夢

シカ「くくっ、人の事になると、キリも結構キレるよな」


そう言えば以前も、ネジがヒナタとシカクの事を蔑んだことをキッカケに、キリとネジの間に争いが勃発した。

キリはこの時、それはもう大乱闘していた。


一度はネジに敗北したが、再戦を申し込むくらいの熱を内に秘めてもいる。

それを思い出して、おかしそうにくつくつと笑っていれば、キリはジッとシカマルに視線を向ける。


キリ「……あなたも人の事は言えないわ」


シカマルは自分の事であれば、相手にせずにさらりと躱して。けれどその対象が、自分が大事に思う人だったなら、迷わずに向かっていくのがシカマルだ。

とてもキリの事を言えはしない。


シカ「あー……そうか？」

キリ「そうでしかないわ」


そう断言すれば、思い当たる節があったのか、シカマルはまた苦笑する。


シカ「まあ、確かにな」

キリ「ええ」



シカ「じゃあ一緒じゃねぇか。似た者同士ってことだな」

キリ「……あなたと似ているのなら、嬉しい」


シカ「っ」


キリが本当に嬉しそうに言うものだから、また愛おしさにきゅっと胸が痛くなる。


上手く反応出来るほど、感情が追いついていないのだから、可愛いの暴力もお手柔らかに願いたい。



シカ(……本当によく表情変わるようになったな)


今でこそ打ち解けたキリも。その当時は、シカマルに心配すらさせてはくれなくて。