第20章 面倒見
キリ「防いで同時に返して」
キリが攻撃を繰り出す前に指示されたそれに従って、シカマルはキリの掌打を受け流すと同時に、キリの足もとへと鋭い蹴りを放つ。
キリ「!」
キリ(いいタイミング)
シカ(っ! よしっこのまま…っ)
バッとはじめて後ろに下がったキリに、シカマルは続けざまに仕掛ける。
キリ「遅い」
シカ「っ、いってー」
シカマルぎ仕掛けようと足を踏み込んだ瞬間、反対にキリから足を払われて、シカマルの背が地面につく。
次に目を開けた時には、なぜか大空が視界に広がっていた。
シカ(まじかよ……ほんの一瞬、遅れただけじゃねぇか)
その一瞬でここまで、優勢から劣勢にひっくり返されてしまうのか。
シカク「そこまで」
試合終了の合図があって、シカマルはぜえぜえと息を切らしながら、目の前に広がるのびやかな青空を見上げるしかなかった。
シカク(思った以上の成果だな)
この数時間にわたる組手の中で、シカマルの動きは当初とはまるで変わっていた。
シカマルの受け身ばかりであったそのスタイルが変わったのだ。
のびているシカマルを見て、シカクは苦笑いを浮かべる。
シカク(いや、変えられたの方がしっくりくるな)
スパルタとも言えるキリの容赦無い指導に、シカマルの逃げ腰気味であった戦い方が叩き直されたのである。
シカク(それにしても……)
少し呼吸を乱しているキリをちらりと見る。
シカク(シカマルもあれによくついていったが、それ以上に驚くのはキリの方だ)