第20章 面倒見
一度キリから仕掛ければ、シカマルは後ろへと下がろうと足を上げた。その瞬間、キリは間髪入れずに進言する。
キリ「そこで退かないで」
シカ「っ!!」
キリは続いて、追撃を入れる。
キリ「そこは右じゃなくて、左に避けたついでに反撃」
攻撃を右へと避けたシカマルのがら空きになった横っ腹に蹴りを入れれば、シカマルの体が宙に浮く。
シカ「ってぇ」
キリ「防いでばかりじゃどうにもならない。それに、避ける動作が大袈裟すぎる」
おさらいするように。手本のように。キリは先ほどのシカマルの動きを真似た後に、最小の動きで攻撃を避ける方法を示した。
キリ「指示を出すから、よく聞いて」
シカ「お、おう」
淡々とそう言ったキリに、シカマルは戸惑いながらもすぐに立ち上がった。
そんな二人のやり取りを見て、シカクの口角は上がる。
シカク(いい傾向だな)
キリ「馬鹿みたいに真正面から受けないで。流して」
シカ「っく…」
ずんっと右腕に受けた重い衝撃、シカマルはびりびりとした痛みに耐える。
続けてキリから、もう一撃。
キリ「下がりすぎ、もう一歩前でいい」
シカ「っ、わかった」
キリ「全部下がるなって言ってるわけじゃない。こんな大ぶりの攻撃防いでどうするの」
シカ「わ、わーってるよ」
シカマルも、頭でわかってはいる。
先ほどから飛んでくるキリの指示は、どれも的を得ていて的確であったが、問題は言われてすぐにそれを実行出来るほどの器量をシカマルが持ち合わせていないことだ。