第86章 景色は色付いて
今までずっと、誰かと関わって生きてきたから。
両親に愛され、施設という大人数で暮らし、友人や親友と共に、これまで生きてきた。
でも木ノ葉隠れの里に来てから。アカデミーの頃、そして奈良家での生活が始まるまでは、誰とも会話をせずに終わった1日が何度あったことだろう。
キリ「でも、ここへ来てからも色んな人に助けられたわ。あなたにも、シカクさんにも、ヨシノさんにも、カカシさんや、三代目様、ヒナタ……」
他にも、たくさんの人がキリを救ってくれた。
シカ「俺は、お前に助けられてばっかりだったけどな」
キリ「そんな事ない。あなたが助けてくれなかったら、私は五体満足で今ここにいないわ」
緊急任務で音隠れへと出向いた際、キリは音忍4人との戦闘になり、その戦闘は一晩中に及んだ。
追い詰められて、もう本当にギリギリだったその時に、シカマルの姿が見えたのだ。
あれがなければ、命を落としていても何ら不思議はない。少なくとも、キリは左腕を失っていただろう。
シカ「じゃあ、お互い様だったんだな」
キリ「?」
シカ「雷影の奇襲から庇ってくれただろ。俺も、あれがなけりゃかなりヤバかった」
あれはどう転んでも、無事では済まなかっただろうとシカマルは告げる。
キリ「お互い様にはなれないくらい、私にはたくさんあるわ」
シカ「俺だって他にも色々あるっての」
しばらくの間、私だ。いや俺だ。と、両者譲らずの平行線となったが、ひとまず、話しを全部聞こうとシカマルが休戦を申し出て、話しは再開された。