第20章 面倒見
シカク「はじめ」
束の間の休息が終わって、シカクの声により再び組手がかわされる。
一度、二度とキリがシカマルに仕掛ければ、先ほどと同様にシカマルは防戦一方となる。
シカ「っ、くそっ」
キリ(……センスが悪いわけじゃない。でも)
ひゅんっとキリが腹を目掛けて放った蹴り。その攻撃を、シカマルは後方に下がって避ける。
キリ「下がりすぎ」
シカマル「!!」
続けて、反対の足で顔を狙って蹴りを放てば、シカマルはしゃがみ込んでそれを回避した。
キリ「……そこは避けるんじゃなくて、攻められた方がやりにくい」
キリはパッと少し間合いをとって、先ほどのシカマルの動作を真似る。
キリ「たとえば、しゃがみ込むんじゃなくて。こう……反対にカウンターを入れれば、向こうは攻撃を中断して防ぐしかない」
シカマルと組手をして、思ったこと。
いかんせんシカマルは引き過ぎるように思う。
体術に苦手意識があるのか、下がり過ぎる傾向があった。
過剰に下がることで、更に自身が攻撃にまわる時間は削られて、後は一方的に攻められるしかない。
近距離戦のセンスがないわけではないのだが、非常にもったいない戦い方をしているように思う。
キリの発言に、ぽかんとしているシカマルを見ながら、先程告げた言葉を思い出す。
【仲間が危ねぇ時に何も出来なかったら、守れるもんも守れねーだろーが。俺が体術を出来なくていい理由にはならねーよ】
キリ「……次、構えて」
キリが再び構えれば、シカマルも慌ててそれに倣った。