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ささめごと -ながい夢- 【NARUTO】

第85章 始まりと終わり






今回のキリの反応を見る限り、キリは信じてくれたように思う。


シノ「ああ」


シノからの同意も得られて、大仕事を終えたかのように、肩の力が抜けたのがわかった。


シノ「よく頑張ったな」

『ありがとうございます』


シノ「……だが」

労いの言葉のあとに、少々口ごもったようすのシノに、不思議に思いながらも医療員は続く言葉を待った。


『はい』


シノ「お前は……本当にそれで良かったのか」

いつもより少し声のトーンが落とされたその言葉は、身を引く形になった医療員を案じたものだった。



一瞬考えて、すぐにその答えは出る。


『………はい』


自分でも驚くぐらい、思っていたよりずっと平気だった。

悲しいよりも、キリたちの幸せを願うことが出来る。



《それは……》


ちらりとシノを見れば、心配そうにこちらを見ているシノがそこにいて。

どれだけその優しさに、救われた事だろう。



実際に、以前一人でキリと話した時は、沢山ほころびがあった。

だが、シノが隣にいてくれたから、自分はこうしてキリとしっかり話す事が出来たのだ。



《……シノさんのおかげですね》

辛い時に、そばにいてくれてどれほど心強かったことか。

こんな自分を好きでいてくれて、どれほど嬉しかったか。



『もう、大丈夫です』

今はまだ、シノのことを同じ〈好き〉だとは言えないが。



『さっきの言葉、嘘じゃありません』

さっきの言葉とは、一体どれのことかと思い返しているシノに、にこりと笑顔を向けた。



『初デート、楽しみです』

シノ「っ……」



「行きましょう」と歩き始めると、シノがそれに数旬反応を遅らせて、医療員に続いた。


その頬が少しだけ赤くなっているシノに、心がふわりとくすぐったくなったのは、まだ内緒にしておくことにしよう。


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