第84章 叶わぬ恋の先
第84話 叶わぬ恋の先
次にキリが目を覚ましたのは、丸三日が経ったあとだった。
目を開ければ、真っ白な天井が見えて、病室の匂いがする。
キリ(…………)
まだどこか夢心地でぼんやりとした頭で、キリは何度か瞬きを繰り返す。
カカシ「お、目が覚めたみたいだね」
キリ「カカシさん」
顔を覗き込まれて、カカシの存在に気付き、キリは目を瞬かせた。
カカシ「具合はどう? どこか痛むところは?」
キリ「あ……いえ」
ひどく気だるくて、体と頭が重いが、特別痛みは感じない。
キリはゆっくりと周囲を見回すと、もう何度目かの光景がそこにあった。
どうやら、今自分は病院のベッドの上にいるらしい。また病院で、世話になっているようだ。
カカシ「あれから、三日間眠り続けてたよ」
キリ「……………!!」
〈あれから〉を指しているその内容をようやく思い出して、キリは目を見開いた。
キリ「あ……! 彼、は……イチカと、ナガーー」
カカシ「ストーップ」
シカマルは、イチカは、樹の里のみんなは、そしてナガレは。
一体どうなったのかと、体を起こせば、ポンっとカカシに肩を押さえられた。
カカシ「説明するよ」
穏やかな雰囲気を感じさせるその笑顔が、落ち着けと言ってくれているのがわかって、キリは何とか、はやる気持ちを抑え込んだ。