第20章 面倒見
一度、キリも影を操る術を使用しようと試みた。
しかし、いくら影にチャクラを込めたところでそれが動くことはなく、やはり奈良一族であるからこその術なのだろう。
シカク「チャクラコントロールを雑にするんじゃねえ。そんなんじゃ長くもたねーよ」
シカ「くっ…」
シカクに続いて動くシカマルの影がピタリと動きを止め、元に戻って行く。
シカク「まだまだだな。影を動かす速さも必要だがな、それに馬鹿みてーにチャクラ使ってりゃ捕縛出来たところで後が知れてる」
捕らえる事が最終目的ではない。その後、影を解いても問題ない状態まで持っていってはじめて、術が役に立つのだと。
シカク「捕まえたらはい終わり、じゃねぇんだ。せっかく捕らえた敵をすぐ自由にしちゃ世話ねーよ」
やれやれと自分の影も元へと戻したシカクは、キリへと足を向ける。
シカク「キリ、待たせたな」
キリ「いえ、相変わらず有用な術ですね」
シカク「ははっ、そうだな。あいつも使いこなせりゃもっと強くなるんだがな」
シカクはぜーぜーと息を切らして、大の字に横になっているシカマルを一瞥する。
シカク「キリ、俺と組んでる時のお前はいい動きをしてる。いつか、お前がシカマルと組めばすげーコンビになるかもな」
そう言って笑いながら、シカクはキリの頭をわしゃわしゃとなでる。
確かに最近は少しずつ、シカクの影に合わせられるようになってきた。まだまだそれも、シカクがキリの動きを把握していることが前提ではあるが。
シカク「シカマルも実はああ見えて、なかなか頭のキレる奴だ。キリ。お前が一緒に戦うなら、お前ら二人、向こうにとっちゃなかなか厄介な相手になると思うぞ」
「だから、シカマルをよろしく頼むな」と頭から手を離されて、キリは乱れた髪を整える。