第20章 面倒見
今日は一日、修行をするというシカク。
11班の担当上忍である奈良シカクの実力は相当なものだった。
キリがシカクと組手をかわせば、まるでこちらの手の内でもわかっているのか、というような攻防が行われ、仕掛けた技はものの見事に返される。
シカクとの修行は得るものが多い。
シカクに面倒をかけることは気掛かりだが、部下の修行を見るのも担当上忍の務めであるらしく、キリもその時間はとても有意義に感じていた。
しかし今回はシカマルも一緒に修行を行うとのことで、キリはその申し出を丁重にお断りしたのだが、意見が通ることはなかった。
そしてシカクによって、キリは半ば引きずられるようにして修練場までやってきた。
キリが刀を手にとって体をならしていれば、先にシカクとシカマルの修行が始まる。
自由自在に動く影と影。
しばらくその様子を見ていたが、いつ見ても不思議なものだった。
影を操る奈良一族。
使い方が難しい反面、使いこなせば敵対したものにとっては非常に厄介な術だろう。
彼らの術は一対一での戦いでももちろん、仲間との連携で更に高い効果を得る。
キリは以前一度、シカクに影を捕らえられたことがある。
ぴたりと動きを止めた体。その時、シカクがキリの影を離すまでは身動き一つ取ることが出来ず、なす術がなかった。
あの状況でもし他に仲間がいれば、キリはひとたまりもないだろう。
さらにシカクの話によると、影を使って捕縛しながら攻撃も可能だというのだから、なかなかどうして反則的な技である。