第3章 アカデミーへ
「この話はそれだけじゃなくてね、続きがあるの。その子、里の人を何人も何人も殺しちゃったんだって。それで、その里じゃ手に負えないって、追い出されたらしいのよ」
「「きゃー!!怖ーい!!」」
話を聞いて固まっていた女たちが顔を見合わせて、悲鳴をあげる。
きーんと甲高い声が響いて、顔をしかめながら耳に手を当てれば、次々とうそー さいてー等と非難の声があがる。
しーっと中心にいた女が口に人差し指を当てて、また小さな声で話は続けられた。
「でも、どうしてそんなに詳しいの?」
「実はお父さんがね、そいつは化け物だから仲良くするなって、危ないからって、言ってくれたの。でも、そんな子だったら、みんなも知ってないと危ないでしょ?」
「特別に教えたんだから、みんな。これは絶対内緒なんだからね?」
そう言って再び口に人差し指を当てれば、周りの女たちは頷いて、ありがとう だの 優しいね だのとその女を褒め出して、女はそれに満足気に返していた。
シカ(親殺し、ねぇ)
朝一からなんとも物騒な会話であった。
しかし、そんな会話でも女たちはどこかそれを楽しんでいるように思う。
シカ(女ってほんとめんどくせー)
呆れながらその光景を見ていれば、ドアが開いてイルカが入ってきた。
それに合わせて、ぱたぱたとそれぞれが席についていく。
イルカ「みんなおはよう!今日はなぁ、授業の前にみんなに報告がある」
ナルト「なんだってばよ!もしかして!自習?自習?」
イルカ「そんなわけないだろうナルト!」
まったくお前はと、ため息をついて、イルカは続ける。
イルカ「今日はな、みんなに新しい仲間を紹介する。今日からアカデミーに入学するキリだ。入れ」
その言葉に、先ほど噂をしていた女たちがザワザワと反応を示す。ドアから一人の女が入ってきた。
腰まである長い髪で、真ん中のイルカの隣まできたそいつは、くるりと前を向いた。
背筋がピンと伸びて、まっすぐに前をみるそいつは凛としていて。
青い瞳に整った顔立ちをしているそいつは確かに長い髪ではあるが、おばけのように怖い見た目ではない。
シカ(やっぱ噂はあてになんねーな)