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ささめごと -ながい夢- 【NARUTO】

第83章 ヒーロー






キリに使用された劇薬によるものか、中和薬によるものか、しばらくするとキリは意識を失った。


トン、とシカマルの胸に身体を預けたキリを抱き止めて、シカマルはゆっくりと大きく息を吐く。

シカ「……ふーーーっ」


キリから聞こえる規則正しい寝息のような呼吸音に、ようやくこちらも息をつけた。

そのまま、丁寧にキリを地面に寝かせると、シカマルはじっとキリに視線を落とした。


穏やかな表情と、血色の良くなったキリの顔色。どうやら中和薬は、良い方向に作用してくれたようだ。


シカ(ゆっくりしてる暇はねぇ)

これはキリを止められた。めでたしめでたしで、終わるものではない。


イチカは、樹の里のみんなは、無事なのだろうか。

キリを助けに来て、親友のイチカが命を落とすようなことになれば、その後のキリはどうなることか。

本当にもう二度と、キリは笑顔を見せてはくれないかもしれない。


イチカ達が、誰一人として欠ける事なく無事でいて初めて、ハッピーエンドとなり、みんなで笑う事が出来るのだ。



一刻も早く、イチカ達のところへ行かなくてはならない。

イチカ達が勝利しているのならば、イチカは、後をたどってキリのもとへ飛んでくるはずだ。


だが今、その姿が見えないということは、それが出来ない状態にあるのだ。


シカ(っ……)

ふと最悪の展開が頭に浮かんで、ぞくりと背中に冷や汗が流れる。


シカ(いや、あいつらも来てねぇんだ! まだ……!)


そう、イチカ達が敗北していれば、ナガレ達がここへ訪れていたはずだ。

そのどちらも追ってこないということは、いまだ両者戦闘中である可能性が高い。



シカマルは、パッとキリの身体に手を伸ばした。

体温、呼吸、脈拍、全てが正常値にあることから、もうキリが目覚めても、暴走する可能性は低いだろう。


その万が一を想像すれば恐ろしいが、今は一分一秒が惜しい。


今は、キリはもう自分を取り戻していると、自分で止めることが出来ると信じて、シカマルは立ち上がる。


シカ「すぐに戻るからよ」

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