第82章 親友
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そんな涙を、乱暴に拭ったその後は。
イチカは隊のリーダーとして、先導した。
あまり多過ぎても統率力が低下すると、多数集った志願者の中から、個々の能力のバランス、そして連携の取りやすいメンバーを選んだ。
そうして出発したイチカ達は、駆けて、駆けて、駆けて。
とにかく木ノ葉隠れの里を目指して、駆け続けた。
ろくな休憩も取らぬまま、辿り着いたイチカ達は、門番によって足を止められる。
それもそうだろう。
以前訪れた時なんて、通行許可証を持っていたのにも関わらず、照合に時間がかかっていたのに、手ぶらですんなりと入れるものか。
どうする、と仲間たちがざわめく中で、イチカは一歩足を踏み出した。
イチカ「樹の里の者よ。計画の遂行に」
『!!』
そう言えば、顔を見合わせた門番二人に、イチカはどきどきと胸を鳴らした。
ナガレたちが、既に中にいるのなら。
おそらくナガレは、何かしら木ノ葉へ繋がりを作っている、または抱き込んでいると言った方がいいのか。
『………入れ』
その言葉と共に、ふと道が開けられる。
こんなハッタリが通じてしまったことで、イチカはナガレの居場所が木ノ葉内であることを確信する。
タンッと二度目の木ノ葉の地を踏んだ。
イチカはまだナガレの裏切りを信じ切れていない仲間たちへ、視線を送った。
イチカ「ナガレさんを探して!」
『う、うん!』
中でも最も探知能力の高い彼女に、それを託せば、彼女はすんすんと鼻を動かしてナガレの居場所を探る。
『……! ほんの少しだけど、ナガレさんの匂いが残ってる』
『じゃ、じゃあやっぱりイチカ姉の言ってることは……本当に』
ごくりと生唾を飲み込んで、静まり返った仲間たちにいちいち構っていられるほど、事態は易しいものではない。
イチカ「どっちへ向かったの!? 早く追うわよ!」
各自思うことは色々あるだろうが、ハッと我に返ったようで。みんなはイチカの言葉に頷いてみせる。
そして、かすかに残るナガレの匂いを辿っていた時、イチカの目に飛び込んできたものがいた。
イチカ(あれは……!)