第81章 迎え
イチカ「はぁぁあっ!!」
烟る視界の中で、激しい金属音と喧騒が響き渡る。
小風が吹いて、煙をさらっていった時。
地に伏せているのは面をつけた忍であった。
イチカ「ふー……」
イチカは大きく息をつく。
見渡した先には、イチカが連れて来た樹の里の仲間5人とシカマルの姿。
そして今、イチカが仕留めた面をつけた忍が一人。その場に倒れているのが見えた。
それに対して、イチカはぴくりとこめかみに筋を浮かべた。
イチカ「ちょっとあんた! ふざけんじゃないわよ!」
その怒号が向けられた相手は、ナガレでもキリでもない。
そして怒鳴られた本人も、苦笑いを浮かべていた。
シカ「悪い」
イチカ「悪いじゃないわよまったく」
はぁ、と呆れたようにわざと大きくため息をついたイチカは、ナガレ、そしてキリに視線を向けると、それは鋭い眼差しに変わる。
イチカ「まあ……いいわ。ひとまず成功ね」
シカ「おう」
予定していた最も良い形とはならなかったが、悪くない結果だ。
イチカ「まずは……」
シカマルはクナイを、そしてイチカは小刀を両手に構えて、敵と向かい合う。
イチカ.シカ「一人」
残すところは、あと5人。
『『キリ!』』
『『キリ姉!』』
イチカ「待って! 今は駄目!」
樹の里の仲間が、キリへと踏み出そうとした足を止める。
ナガレ「……どうして、君がここにいる」
ナガレと対峙するイチカは、その答えを語る。
イチカ「あの日の事、ずっと調べてたの」
キリが、樹の里で殺戮を繰り返したあの日。
イチカ「だって、どう考えてもおかしいでしょう。キリが薬の容量越えで、あそこまでなるなんて」
そう。イチカの知っているキリは、間違ってもそんなことはしない。
幼き頃から知っているのだ。
イチカ「キリは、絶対にしないわ」
ナガレ「実際に、手をかけたのはキリだろう」
イチカ「……そうやって、ずっと……ずっと私たちを騙してきたのね」