第81章 迎え
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ナガレはキリと共に、集合場所へと訪れれば、そこへ面をつけた四人の忍が姿を現した。
ナガレ「待たせたね」
面をつけた忍の一人が、キリへと視線を向けた。
『いえ。首尾良く進み何よりです。では、これからは当初の予定通りに?』
ナガレ「そうだね。戦闘になるだろうから、君たちも少し打っておこうか」
『『御意』』
カチャカチャと、器具が擦れ合う音がする。
手際良く、あらかじめ用意していた薬を取り出したナガレは、個体に合わせた量を注射器へと注入する。
ナガレ「おいで」
その声に呼ばれて、腕を差し出す忍たちに、ナガレはぷつりと針を刺した。
ナガレ「いいね? 何も私は、木ノ葉隠れの里を潰そうとしているわけじゃない」
一人目の投与が終われば、二人目。そして、また次。
ナガレ「はたけカカシ、奈良シカク。この二名に狙いを絞り、他の人間はついででいい」
邪魔になる者なら、又は近くに壊せそうな者がいたなら、相手が一般人であろうが子どもであろうが壊してしまえと、ナガレは告げる。
ナガレ「あと、彼らにも少し挨拶をしたいだけだからね。はたけカカシも奈良シカクも、無理に命を奪う必要はない。目を潰すなり、足でも切り落とすなり出来れば、それで充分だ」
四人に注射を終えたナガレは、にこりと笑みを浮かべながら、そう言葉を落とした。
ナガレ「キリも、いいね?」
ふわりと目を細めたナガレの瞳に、キリがうつる。
キリ「はっ……はぁっ、はっ」
キリ(早く、はぁ早くっ誰か早く早く早く早く)
キリの、内側から湧き出る殺人衝動。体の中心から、早く、今すぐにでも、誰かを殺せと血湧いて堪らない。
焦げるようなその感情に、かたかたと身体は震えて、渇望する。
そんなキリを見つめて、ナガレはクスクスと笑い声を零した。
ナガレ「本当によく耐える子だね君は」
ぴくぴくと、腕に浮き上がるキリの血管は、今にもはち切れそうなほど大きく膨れていた。
ナガレ「さあ、そろそろ我慢も限界のようだ」