第81章 迎え
ナガレ「奈良……といえば、そうか」
ふむ、と何やら納得する素振りを見せたナガレは、シカマルを見てその瞳を細めた。
ナガレ「奈良シカク、と言ったかな。あれは中々優秀な番犬だね」
シカ.キリ「!!」
シカクの名に反応を見せたキリは、ゆっくりと顔を上げた。
キリ(番、犬……?)
キリ「まさか……この間の敵勢もナガレさんが……?」
すぐに信じたくない答えが耳に届く。
ナガレ「銀髪といい、婆さんといい、随分と邪魔をしてくれたものだけど……この間はさすがに驚いたよ。あの人数を送り込んで、失敗に終わるなんてね」
「あれには苛立ちや煩わしさよりも、思わず感心してしまった」とナガレは告げる。
ナガレ「何度使いを送っても、ことごとく失敗に終わるものだからね。見かねて私自ら迎えに来たんだよ」
キリ「っ……!」
シカ「ふ、ざけんじゃねぇ!!」
怒声と共に、振りかぶったシカマルの拳が、ガッと大きな音を立ててナガレの頬にぶつかった。
ナガレ「っ……」
続けて、もう片方の拳も握り、渾身の力で殴りつけてやれば、口内を裂いたナガレの口もとからは一筋の血が流れる。
ナガレ「もういいかな。時間がないんだ。コレ、解いてくれないか。君もまだ死にたくはないだろう」
ちらりと繋がった影に視線を落とすナガレに、シカマルがチャクラを更に練り上げると、影はナガレの体を沿い、足から上に向かって縛り上げていく。
ナガレ「はぁ。どうやら早く、あの番犬と同じところへ行きたいみたいだね」
シカ「勘違いすんじゃねぇ、親父がてめぇみてーなクソ野郎にやられるわけねぇだろうが」
その言葉に、ナガレは驚いたように目を丸くさせた。
ナガレ「まさか、あの状態から生還を? 信じられないな」