第81章 迎え
シカ「なっ……!」
キリ「え……?」
目を丸く見開いた二人をよそに、ナガレはキリに満面の笑顔を向ける。
ナガレ「さあ、早く里に帰ろう」
キリ「ま、待って下さい……急に、そんな」
ナガレ「里のみんなを気にしてるのかな? 大丈夫だよ、みんなもすぐにわかる」
キリ「っ……私は……」
そう視線を下げたキリに、ナガレは実に不思議そうな表情を見せた。
ナガレ「何を迷う事がある? もともと、この里は君の居場所じゃないだろう」
キリ「!!!」
その言葉は、キリの胸を深く刺した。
確かここは、本来キリがいるべき場所ではない。
普通に、真っ当に生きていれば、キリはここにはいないはずだったのだ。
シカ「勝手に決めんなよ」
キリ「!」
パシッとキリの左腕を掴んだシカマルに、キリは視線を向ける。
シカ「さっきから帰るとか、居場所じゃねぇだとか……何も知らねぇくせに好き勝手言ってんじゃねぇ」
ナガレ「……何も知らない? 私が?」
可笑しな事を言うものだと、ナガレは声をあげた。
ナガレ「生まれて間もない頃から、ずっとその成長を見てきた。それを、ほんの少しばかり一緒に居ただけの君の方がキリを知っているとでも?」
シカ「っ……キリの居場所は、ここにもあるって言ってんだよ!」
声を荒げたシカマルに、ナガレは少々表情を硬くさせた。
ナガレ「キリ、聡い君ならわかってるだろう。本当に帰る場所がどこなのか」