第81章 迎え
感心するナガレの気持ちはよくわかる。
火の国、木ノ葉隠れの里と協定を結んでいる樹の里も、雰囲気は似ているものがあるが、その規模と里の発展度が段違いなのだ。
里一番の権力者である樹の里の長が住む場所は、里の中ではもちろん豪邸とされるのだが、それはヒナタの家にも到底及ばない。
そして修練場、アカデミー、商店街、広場と、目立つところをザッと見て回って、案内を終えた後、キリたちは森の中を歩いていた。
ナガレ「うん、やっぱり自然が多いと落ち着くね」
キリ「よくわかります」
青々と茂った葉の木漏れ日が美しい。
樹の里も、木々や自然が美しい里であるため、この空気や見慣れた景色には心落ち着くものがある。
そう言って、目を細めた二人を見て、シカマルはひとつ大きく納得するものがあった。
シカ「あー、だからそんなに慣れてんのか」
キリ「ずっとその環境にいたから」
キリの戦闘能力の高さは、今更わかっていることだが、キリとは何もないだだっ広い空間で戦うより、森の中で戦った方が手強い上にやり辛い。
シカマルたちにとっては、障害物になるものを逆に利用して味方にするのだ。
そんな地の利を活かした戦い方を、完全に身につけているのは、生まれて育った環境だろう。
ナガレ「慣れてる?」
二人の主語のない会話に、小首を傾げたナガレに、シカマルが補足する。
シカ「キリは森の中とか、地の利を活かしての戦いがすげー上手いんすよ」
それに、ああと納得したナガレは大きく頷いて、笑顔を携えた。
ナガレ「それだけじゃない。キリは本当に優秀なんだよ。こんな逸材を私は他に見たことがない」
ナガレ「身体の構造から神経まで能力を向上させてはいるが、どうしても女性は同じ薬を使っても筋力の伸びに限界がある」
女性に優秀な人材がいても、それが一番のネックになり、そこを改善させるのかは、これからも課題になり続けるだろうと告げる。
ナガレ「だが、キリは! それを簡単に越えてくれた!!」