第81章 迎え
今、ナガレとキリに呼ばれた男は、三、四十代の男性で。
細身の体に、雑にまとめられた長髪と、ゆったりとした衣服。そして、何よりふにゃっとした柔らかな表情から、穏やかな印象を受ける。
ふわりと整った顔立ちに、背景にパッと花が飛んでいそうな微笑みを浮かべているナガレと、目をまん丸にしているキリをシカマルは交互に見比べる。
シカ「キリ、知ってんのか?」
シカマルの声に、ハッと我に返ったらしいキリは、戸惑いを隠せない様子で、口を開いた。
キリ「あ……え、と……ナガレさんは、樹の里の人で」
突然のナガレの訪問に、頭の整理が追いつかずにたどたどしくそう答えるキリに、ナガレはふっと笑みをこぼした。
ナガレ「これは申し訳ない。キリとの再会が嬉しくてね。つい自己紹介が遅れてしまった」
そう言ってぱっと居住まいを正したナガレは、右手を胸に当てた。
ナガレ「私の名前はナガレ。樹の里で研究者をしていて、施設の薬を調合したり治療をする事が主だね」
さらには、キリが住んでいた施設を作ったのもナガレだと紹介を受ける。
それに対して、シカマルも会釈をして答えた。
シカ「奈良シカマル。木ノ葉の下忍です」
キリ「ナガレさん、彼は……私の大切な友人です」
ナガレ.シカ「!」
シカマルが【大切】という言葉に、過剰に反応してしまった自分に羞恥していると、ナガレは「へぇ……」と、小さく言葉を落とした。
ナガレ「キリが世話になってるようで、私からも礼を言うよ。ありがとう」