第18章 招かれざる来訪者
第11班に任務要請が来たため、シカクはキリの家へと向かっていた。
任務内容は、商業人の護衛。
盗賊対策に街まで送り届けるCランク任務だが、キリの能力であれば何の問題もないだろう。
シカクも最近ランクを上げようと思っていたので、ちょうどいいタイミングだった。
しばらくして、キリのアパートへと到着。
その扉を叩こうとした時、シカクは中からの物音と人の気配に気付いた。
シカク(おっ誰か来てんのか)
あのキリも自宅へ人をあげるなんてことがあるのかと驚きつつ、同時にそれならば任務の話はまた時間を置いて後にするべきかと考えていれば、突如大きな音が響いた。
ガチャンッ ガタガタッ
シカク「キリッ!?どうした!入るぞ」
不穏な物音を聞き、シカクが部屋に入ってすぐに視界へ飛び込んで来たもの。
倒れた椅子に割れたグラス。そして、しゃがみこんでいるキリと、視界の隅で窓から出て行く人影が見えた。
すぐさまシカクは人影を追って、窓から外を覗くが、すでにその姿は見られなかった。
シカク「ちっ、キリ!大丈夫か!」
キリのもとへと駆けより、しゃがみこんで顔を歪めるキリの背に手を置いた。
怪我はないようでシカクはひとまず安堵する。
シカク「キリ、何があった!?」
キリ「……何でもありません」
シカク「何でもないわけねーだろうが!誰の仕業だ?」
キリ「わかりません。でも大丈夫です。……シカクさんは何故ここへいらしたんですか」
ぱっとキリは立ち上がって、背に置いていたシカクの手から、一歩距離を取る。
シカク「今はそんなこたぁどーだっていい。キリ、こっちを見ろ。話してくれ」