第17章 自覚して加速
キリが背負っているものを、キリが見ている景色を、どうか自分にも教えて欲しい。
いつも一人きりで生きようとする彼女の支えになる人が現れることを願う。
そして、願わくばそれが自分であればいい。
シカ(簡単に……行くわけねぇよな)
これからの険しくておそらく困難だらけであろう道のりに、つい苦笑いがこぼれる。
シカ(よし、行くか)
上体を起こして、気合を入れるように膝を叩いた。
今日は、明日で退院するキリへ最後の見舞いとなるだろう。
シカマルが病室に行って、キリはどんな顔をするのだろうか。考えてすぐ、眉を寄せるキリの表情が浮かんだ。
けれど、険しい道も進まなくては。その先にどんな景色があるのか、想像も出来ないが、今のシカマルがやれることは前進のみだ。
シカマルは桃色の花を求めて、いのの店に向かった。
…………………………
ーー翌日、退院後の二人ーー
「仕事柄大変だろうけど、あまり無茶して怪我をしないようにね」
キリ「はい、長い間お世話になりました」
キリは半月の間、生活をした病院を後にする。
そして病院を出てすぐに、立ち止まった。
シカ「よぉ」
キリ「………なんであなたがいるの」
シカ「退院おめでとう。迎えに来た」
キリ「いらない。帰って」